海苔屋 神戸英一郎の話-最終回
さてこれまで11回、私の大好きな「海苔」の味を探究してきた経過を一応書いたのですが、実際にはこのほか沢山の発見と多くの知識を教えて、一致の「海苔」のお陰で多くの勉強をさせてもらいました。
そして最後に一つだけ大切なことがありますので、それをお伝えして終わりたいと思います。
それは加工の方法が、その「海苔」の旨味に大きな関係があることです。
「焼き海苔」をつくるときの加熱の仕方です。
これには、世界的に有名なフランスで十八-十九世紀に生きた美食家「ブリア・サヴァラン」という人の書物に、
『結局食物の旨味というものは、調理による加熱の温度でエキスが溶解して出てくるものであるから、何度に熱したら一番旨いエキスが多量に出るかを知ることである。 加熱し過ぎても駄目、また熱が足りなくても駄目である。』
と書いてあります。
「海苔」の焼き方で味や風味に大きく影響することは確かです。
一枚、一枚「海苔」は抄いてつくられたものですから、厚さが違います。
また一枚の「海苔」でもその真ん中と端では厚さがバラバラですから、一定の温度と、一定の速度で焼いた「海苔」は、一枚一枚手あぶりしたものとは、味に大きな差があります。
だから
現在では、「海苔」は自動的に機械で焼いたのは、旨いものが少ないのではないかと思います。
榮屋海苔店が、わざわざ『手づくり海苔』と名付けて販売している理由がここにあるのです。
尚、「味付海苔」については、また別の理由がありますが、、
次の機会に致します。
終わり
神戸栄一郎
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