2019.05.31 09:21海苔屋 神戸英一郎の話-最終回さてこれまで11回、私の大好きな「海苔」の味を探究してきた経過を一応書いたのですが、実際にはこのほか沢山の発見と多くの知識を教えて、一致の「海苔」のお陰で多くの勉強をさせてもらいました。 そして最後に一つだけ大切なことがありますので、それをお伝えして終わりたいと思います...
2019.05.28 06:00海苔屋 神戸英一郎の話-10時々、黒い巻き寿司を節分などに買って食べると、口の中で大半溶けて、のどを通過しているのに、ガムのように噛んでも噛んでも溶けない「海苔」がある。 これは、色が真っ黒で光沢のある厚手の「海苔」はそれぞれの用途に応じて利用されるので、同じ「海苔」でも違うものになるのだ。&nb...
2019.05.23 06:00海苔屋 神戸英一郎の話-9さてさて、極上品とはどんな「海苔」か見分ける方法をお教えいたしましょう。 1:その「海苔」が海から摘み取られた年・月・日、即ち「海苔」の生年月日を調べる。2:摘み取られた場所、即ち生れ故郷を知ること。
2019.05.21 06:00海苔屋 神戸英一郎の話-8 さて本題の「旨い海苔」とはどんな「海苔」なのかに戻ろう。先ず「海苔」の葉体の一番外側に“マンナンクチクラ”というコンニャクの質のようなものがある。その下には、“ガラクタン硫酸”というトコロテン質のようなものがあり、これら外皮に包まれて多糖類即ち栄養分をいっぱい詰めた細胞質が存在し...
2019.05.16 06:00海苔屋 神戸英一郎の話-7味覚で「旨い」とか「美味しい」とか、そんな頼りないことではとてもお客様に自身を持って旨い「海苔」と売ることはできない。 根本的に「海苔」と言う海藻をバラバラにして、どこに美味しい味や香りがあるのか?それはどの様にして自然の中でできるのかを一つ一つ調べることが先決であると...
2019.05.14 06:00海苔屋 神戸栄一郎の話-6いままで書いてきた様に文章で書いてしまえば、数ページで「旨い海苔」の『手づくり海苔』という商品が簡単に出来たように見えるが、、、、この間実に、昭和五十八年から平成三年までの約八年程が経過したのだ。それは実際は私自身も、旨い「海苔」とは本当はどんな味か、おいしい「海苔」として一般消...
2019.05.07 07:46海苔屋 神戸栄一郎の話-4その先生の口から出たのは、緑芽という言葉だった。私は、緑芽とはどんな「海苔」か? どこにあるのか?を質問した。すると・・・「その種を養殖している生産者を紹介しよう」とのことである。私の心は躍った。書食時に先生は東北弁で各生産者と車座になって談笑していた。日焼けした生産者の顔の中に...
2019.05.07 06:02海苔屋 神戸栄一郎の話-3以前はすし屋さんへ奉公して、修行し一人前のすし職人になった人が多かった。しかし最近では、アルバイトのような素人職人が多くなったので、昔の様なうまい巻きずしは見られなくなった。節分の丸かぶりずし等には、かぶりついても噛み切れず、いつまでもチューイングガムの如く「海苔」が残って仕方な...
2019.05.01 08:33海苔屋 神戸栄一郎の話-2一方すし屋さんにも一大改革が生じた。以前は、巻きずしを巻く場合に一枚の「海苔」に三分の一ぐらいに小さく切った「海苔」を重ねて巻いたものであった。これは一枚で巻くと中央部分が破れて、巻きずしを輪切りに切るときパンクするのである。美しい巻きずしをつくるコツであった。そのため一本の巻き...
2019.05.01 08:29海苔屋 神戸栄一郎の話-1生活の為、毎日おすし屋さんや食堂等へ「海苔」の売り込みに走り回った。昭和三十年、四十年代半ば頃迄は、まだまだ食料は十分ではなく、何でも飛ぶ様に売れた。その頃、巻きすし一本とうどん一杯で一応腹がふくれたので、すし屋さんは一ヶ月に千枚ぐらいの海苔は使った。従って「海苔」生産は需要に追...
2019.05.01 07:59榮屋海苔店のはじまり私は西暦一九二二年生れの細身の男性です。職業は、海苔販売業。海苔は食品の海苔である。約55年ほど前に始めた仕事で、不思議な縁でこの仕事に入りました。それは後述するとして、私は昔からあの眞白な甘い大根おろしに、手あぶりした焼きのりをもんでかけ、そこへ醤油と少々の味の素を入れかき混ぜ...