海苔屋 神戸英一郎の話-8
さて本題の「旨い海苔」とはどんな「海苔」なのかに戻ろう。
先ず「海苔」の葉体の一番外側に“マンナンクチクラ”というコンニャクの質のようなものがある。
その下には、“ガラクタン硫酸”というトコロテン質のようなものがあり、これら外皮に包まれて多糖類即ち栄養分をいっぱい詰めた細胞質が存在している。
これが「海苔」の葉体の構造である。
少々専門的になるが、海の中には植物性のプランクトンが生息しており、このプランクトンには硝酸塩(室素)リン酸塩・ケイ酸塩が必要で、これを取り入れることによって繁殖・成長する。
これらを栄養塩類といい、いわゆる海の肥料である。 更に、海水中を通過してくる太陽光を受けて光合成し、プランクトンは益々成長し繁殖する。
「海苔」はこの植物性プランクトンを取り入れ細胞を作り、海藻になる。
そのため「海苔」の葉体にはたんぱく質がいっぱいで、そのたんぱく質には代表的な味の元素が含まれている
①甘味・・・・・アラニン
②旨味・・・・・グルタミン酸
③甘酸味・・・アスパラギン酸
上の三元素(遊離アミノ酸)の上に、更にグリシリン・イノシン酸・グアニル酸等とバランスよく合成されることで「旨い海苔」ができるのだ。
更にこれに加えるに、口中で広がる香りが大切で、風味のよい「海苔」が生れる。
この香気も皆、上のアラニン・グルタミン酸・アスパラギン酸等々の質の良し悪しで決定される。
では、こんなに旨い味の元素を含んでいる「海苔」は皆旨いはずであるのに、なぜ「不味い海苔」がたくさん存在するのか?
それは自然の節理で、人間が養殖しても極上品は少量で、中品・下品と段々多量にできるようになっている。
では極上品とはどんな「海苔」か見分ける方法をお教えいたしましょう。
つづく
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